日本語と英語はすべてが違います。大人から勉強を始める場合、文法を学ぶのが一番の近道です。「唯一の方法」と書かないのは、子供のように、周りが話している言葉を口真似して、文法の規則を知ることなく、少しずつ話していくことは不可能ではないからです。ただ、これは大人には恐ろしく時間がかかります。吸収力の高い子供でも、話し始めるまでに何年もかかるのですから当然ですよね。
日本でやった義務教育での知識は、「役に立たない」と言われますが、必ず役に立ちます。いまのスピーキングは、そのときの知識がベースになっているはずです。たとえば、私がスピーキングを始めたときは、なかなか思うように言葉が口から出てこない状態でしたが、それでもtakeの過去形でtaked と話してしまうことはありませんでした。これは、take – took – taken と中学校のときに呪文のように唱えさせられたおかげ、と思っています。中学・高校の英語の授業で学んだ知識がすべて整理されて脳に入っている状態なら、そこからスピーキングができるようになるまでは、それほど難しいことではないのです。
基礎から文法をしっかり学び直すことで、頭が整理され、実践にも必ず役立ちます。
私はDEVELOPで「中学・高校での英語はまったく覚えていません!」「いつも赤点でした!」という生徒様をたくさん指導してきましたが、そういった方の場合、土台となるものが無いため、まったくしゃべれないか、意思を伝えることはできても、相手が理解するのに相当の努力を必要とすることになります。あまり英語でのコミュニケーションで良い経験が無いので、英語自体に苦手意識を持っていることがほとんどです。これを解決するには、中級→上級と上っていく前に、しっかり土台固めをする必要があります。土台固めとは、つまり文法です。
中級で伸び悩んだら文法に立ち戻る
スピーキングはしばらく実践の機会があれば、着実に伸びていくものですが、壁にぶち当たるときが来ます。私も中級くらいでどうしても伸び悩んだ時期がありました。日本語の発想で考えて、訳してからようやく口に出すことができるので、スピードが遅くなってしまうのです。結果、相手にいらいらされたり、途中でさえぎられたり、言いたいことが伝わらなかったりということで悩みました。そんなときに救ってくれたのが文法です。たとえば、
日本語は、基本的に
A is B(AはBである) という構造になっています。
たとえば、 彼は学生です。 だったら、 He is a student. で、日本語の順番とそう変わりないので楽なんですけどね。
こちらではどうですか? 温暖化現象は我々はあまり気づかない。
Global warming is we do not notice. これは文法的には間違いです。
なぜなら、A is S V (Sは主語、Vは動詞)ということはできず、be動詞の後は形容詞か名詞しか持ってくることができないからです。
簡単にこの問題を解決する方法があります。 A is S V を A is what SV にするのです。 温暖化現象は我々はあまり気づかない。
Global warming is what we do not notice. これは名詞節と呼ばれるものなのですが、what we do not notice の部分はセットでひとつの名詞とみなされます。だから、isの後に持ってきても問題ないわけです。
この名詞節をスピーキングに適用すると、格段に綺麗かつ流暢にしゃべれるようになります。このように文法がスピーキングの行き詰まりを解消してくれるケースがよくあります。
TOEIC高得点取得の鍵は英文法
TOEICはスコア750までは、練習を地道に重ねれば到達できます。また、TOEICはリスニングが比較的簡単なので、英語を聞く練習をすればリスニングパートは満点近くを取ることができます。しかし、800や900以上を狙う場合、パート5の穴埋め(文法)問題で高得点を取ることが絶対に必要です。TOEICのパート5は、非常に細かい点を聞いてくる問題もあります。そんなとき、文法の知識があいまいの場合、「なんとなく」で答えるしかありません。なんとなくで答えていたら、800や900の壁を越えることが難しくなります。私の場合も、900の壁を超えられませんでしたが、翻訳やIELTSを教えるようになり、文法を細かいところまで総復習していたらいつのまにか満点近くが取れていました。
たとえば、下記の問題はパッと答えられますか?文法の基礎知識がしっかりあればすぐに答えられる問題ですが、なんとなくしか抑えていない場合は難しいです。 Like no other member we have ever employed, Maria exercised a ______ influence on the firm.
(A) dominance (B) dominate (C) dominant (D) dominantly 冠詞が空欄の前、名詞が空欄の後にあるので、空欄には形容詞しか入らない、ということは文法の知識があればわかります。なので答えは(C)です。(A)~(D)のうちどれが形容詞か、ということは品詞の知識をしっかり抑えることでわかるようになります。